『不幸になりがたる人たち』春日武彦/自責で苦しまないためのヒント

不幸になりたがる人たち おすすめ本
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『不幸になりがたる人たち 自虐指向と破滅願望』(著者:春日武彦)を紹介します。

自責で苦しまないためのヒントとして、おすすめの1冊です。

「不幸になりがたる人たち」の著者紹介と本のあらすじ

『不幸になりがたる人たち 自虐指向と破滅願望』の著者は精神科医の春日武彦氏です。

1951年京都府生まれの春日氏は、日本医科大学卒業後に産婦人科医として勤務し、精神科医に。多数の著書を持ち、怪談の名手として名高い平山夢明氏との対談本などもあります。

文体への影響を考慮して普段あまり本を読まない私が、現在も読み続けているのが、春日武彦氏と平山夢明氏の本です。もちろん他も読むものの、特に好んでいるのが、この2人です。後に対談本についても紹介します。

前述の通り、春日氏は精神科医であり、その分野の本を多く出しています。この『不幸になりがたる人たち 自虐指向と破滅願望』も、その1冊です。本作では、実際のニュースなどを題材にしながら考察などが紹介されています。

本の構成は以下の通りです。

第1章 理解しかねる隣人たち
第2章 奇妙な発想 奇矯な振る舞い
第3章 悲惨の悦楽 不幸の安らぎ
第4章 グロテスクな人々

タイトルを見るだけで興味深く感じる人もいるでしょうし、遠慮したくなる人もいるでしょう。少し難しそうだと感じるかもしれません。

しかし理路整然としていて読みやすい文章です。さらに著者の子供時代などのエピソードも含めて進むため、共感しやすい内容になっています。

引用されている文章には、的確な説明や補足が付けられています。この本は控えめであるものの、わりと毒舌なところも親しみやすさを感じさせる大きな要素です。

「不幸になりたがる人たち」感想

第2章では「幸運」「不幸」などを題材にした様々なエピソードが紹介されています。私たちの生活には、「運」という言葉でしか片付けられないような不合理さ・不条理さが、多々存在しますよね。以前紹介した映画『セブン』なども、犯人から見たら当然であっても、被害者からみたら「理不尽の極み」でしょう。

『セブン』ほどではないにしろ、理不尽な出来事にあったとき、普段、どうしていますか。私はどちらかというと強い自責の念にかられます。生い立ちに由来があるために、変えようと思っても難しいものです。

さて、同じような出来事があったときに、気にしない人もいれば、他責に走る人もいます。

この章では「被害者意識」についても言及しています。悪いことがあったとき、自分を被害者だと感じる人は多いものです。ただし、本書において、春日氏は、被害者意識は敵を求めてやまないものだとしています。「こいつさえいなければ」「これさえなければ」という考えは、確かに、敵の存在がある前提ですよね。

「第2章 奇妙な発想 奇矯な振る舞い」から引用して紹介します。

「これさえなければ……」とこだわりつづける人たちは、すなわち「窮屈な永遠」の住人なのである。けれどもそのことに、当人はなかなか気づくことが出来ない。そういった点においては、狂気もこだわりも大差はない。地球ではなく砲丸の上に立っている人が、世の中にはいかに多いことだろう。
(春日武彦『不幸になりがたる人たち 自虐指向と破滅願望』第2章 奇妙な発想 奇矯な振る舞い 74ページより引用)

この「窮屈な永遠」という表現が好きです。

もちろん、自分を含め、誰かのせいにしなければ乗り越えられないような出来事もありますよね。しかし、私たちが抱える「これさえなければ」という思考は、春日氏のいうように、少し危険なものなのかもしれません。

「不幸になりがたる人たち」を読み返すとき

小さな不幸を自分で習慣的かつ無意識に生み出すことにより大きな不幸を回避する人。過度な自虐に至る人。他責だけで生きている人。本書では、そんな実例が紹介されています。

何か悪いことに直面し、落ち込み、自分を責める気持ちになったとき、私はこの本を読み返すようにしています。すると少しだけ落ち着いて考えられるようになるのです。

生きづらさや苦しさ、良くないことに苦しんでいるとき。そんなときにページをめくってみると新たな発見があるかもしれません。おすすめです。

「不幸になりがたる人たち」基本情報
出版:文春新書
著者:春日武彦
初版:平成12年7月20日
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